
掲載日:2008年11月27日

2年連続のFINAL進出。FINAL6では、鹿島ディアーズ相手に惜敗し、2008年のシーズンは終了したが、フロンティアーズは着実に成長を遂げている。選手たちの努力もさることながら、それを支えるコーチ、スタッフも欠かすことができない存在である。
選手たちとは少し違った目線から、フロンティアーズ進化の理由に迫っていきたい。まず、今年からヘッドトレーナーとして、フロンティアーズを支える大隈重信に話を聞いた。
— フロンティアーズにおける、トレーナー(ヘッドトレーナー)の仕事内容について、教えてください。
まずは、選手のコンディションを把握すること。体調、ケガなどを把握するところから始まります。それをコーチングスタッフに細かく説明して、問題のありそうな選手については、練習にどのくらい参加させるかなどを決めていきます。
それから、選手がしっかりと練習できるように、ストレッチやテーピングをします。少しでもいい状態で練習に取り組めるように、アイシングやトリートメントも行います。ここまでが、練習前にやることです。
練習中は、戦列を離れていて、練習に参加できない選手たちのリハビリテーションだったり、トレーニングを行いながら、新たに起こるケガの応急処置を同時進行で行います。
練習が終わると、選手のアイシングをします。もともとケガをしている選手については、回復するためのプログラムを行います。そのほか、今日どこか痛いとか、調子が悪いとか、みんなが来るので、そのケアをします。その後、それらをまとめて、コーチ、スタッフに伝えるというのが、全般的な仕事になりますね。
— ヘッドトレーナーである大隈さんのみが行う仕事はありますか?
チーム全体の雰囲気や、ケガ人の数によって、目指すところが変わってくる場合があります。練習内容が変わる場合もあります。なので、チーム全体を見て、随時報告します。たとえば、雰囲気が良くない、ちょっと集中していない、などを感じとれば、それをスタッフ全員で共有できるようにします。
それから、選手教育ですね。たとえば、ケガをしたら、無理をしないで早く治して、早く復帰させる。練習場でやってもらえることとと、個人的でやることがあるので、個人でやることはこういうことだよ、という教育も含めて対応しますね。あとは、食事、生活面も教育します。
そのほか、ウェイトトレーニングや、ランニングプログラムなどもあります。
— 非常に幅広く、要となるお仕事ですね。
なかなか細かいところまで見るのは、難しいのですが、ここには、優秀なアシスタントトレーナーがたくさんいますので、非常によく手伝ってくれ、助けられています。
— そのトレーナーの方々や、ほかのスタッフ陣との情報の共有が大切になってくるかと思います。どういうところを注意されて、伝えていらっしゃいますか?
言葉で普通にしゃべっても、一人ひとり違うとらえ方をして、情報がうまく共有できてないということが起こりがちです。ですから、一つのことをいろんな方法で伝えます。たとえば、少し言葉を変えながら、タイミングを変えながら、何度か同じことを言うようにします。さらに、1日の仕事を全て終えると、トレーナーは集まってミーティングをして共有します。個別にやったり、全員で集まったり・・・ということを繰り返しています。
それから、今では、インターネットがありますので、メールでのやりとりもあります。以前に比べて、情報共有がしやすくなりましたね。
— 試合のときのお仕事の内容は、どのようなものになりますか?
当日まで出られるか、出られないか、ギリギリまで分からない選手がいます。その選手をプレーさせるか、させないかをジャッジするのが最初の仕事です。それから、トリートメントやストレッチ、テーピングというのが入ってきます。その後、ウォームアップがあります。
あと、試合中は応急処置ですね。ケガした選手を復帰させるか、させないか。復帰させるなら、どのくらい休めるか。それによって、作戦が変わってきます。試合によって、もしくは、試合の流れによって、判断基準が変わることがあります。同じケガだとしても、大事をとって引っ込めるときや、少し痛くても頑張ってもらうこともあります。もちろん、後々影響がなければですが。そこをうまくコントロールしないと、ケガによって負けてしまうこともあるので。
— 試合展開に応じて、判断が求められるわけですね。
はい。そこは都度判断して、コーチ陣に話します。そこは絶対権限をもらっています。誰かがダメになったら、じゃあこういう作戦に切り替えようとか、都度判断をしています。
— ただ、試合によっては少々無理をしても出たい、となる選手もいるのではないでしょうか?
たしかにそういう気持ちを持つかもしれません。なので、ケガがどういうものなのか、しっかりと理解させます。そうするときちんと話してくれますね。
ただ、痛くても普通にプレーできていれば、ケガとして扱うかは微妙なところなんです。普通に動ければ、ケガとしてカウントしません。しかし、動けなくなれば使えなくなりますし、コーチが見ても明らかなので、そういう判断はそれほど難しくないですね。
無理をしてしまうと、次の試合が危ないとか、練習でも無理してやろうと思ったらできるけど、今日やることによってもっと悪化して、試合に出られなくなってしまう、と話すと、自然と理解してくれるようになります。一人ひとり、そうやってケガのリスクとカレンダーを見ながら、ここで力を出すために、こうしたほうがいいと話します。
— 一人ひとり見るといっても、アメフトは選手が多く、大変ではないですか?
選手が多いとみるかですよね。私は、アメフト1チームくらいならそんなに多いとは感じません。別の仕事で、その何倍もの人と触れ合っているので。
<後編に続く>
インタビュアー・ライター:長富 怜子