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アスリートの素顔
素顔のアスリートの連載をはじめます。この連載では、アスリートとしての素顔(選手が何を感じ、競技にどのように取り組んでいるのか)、会社員としての素顔の両面からレポートいたします。
第1回は短距離の佐藤光浩選手に密着レポートします。取材は4月下旬、富士通福島支店を訪ねると、爽やかな笑顔で迎えてくれた佐藤選手。その素顔に迫ります。

400mに出会うまでの少年時代
「子供のころは夢中でバスケットをやっていました。家の近くに小さいリングがあって、はまって毎日遊んでいました。自分だけがダンクシュートができたのがちょっと自慢でした。足が早くなったなと感じたのは小学校5年生の時からです。ちょうど身長も伸びてスピードもついてきたのを覚えています。中学の時は水泳部で、まだ水が冷たい5月からプールで練習し、冬は毎日10kmを走るかなりのスパルタ教育で鍛えられました。陸上をやろうと思ったきっかけの1つは中学校の校内陸上大会に出て優勝したことです。そして高校に進学し、陸上部の門をたたきました。長距離チームと短距離チームが分かれていて短距離を選んだのが400mとの出会いです。」子供のころに毎日遊んだバスケットでバネがつき、中学の水泳部で心肺機能が強くなった。佐藤選手のアスリートとして「走る」からだの土台は福島の自然に育まれできあがったのです。

400m走の魅力
「心とからだのバランスをコントロールして自分の走りを作り上げていくところが400m走の魅力です。」佐藤選手は、400m走を「自分で自分のレースをデザインする能力が必要である」と分析し、「400m走は自分で完成させていく競技」と考えている。子供のころや学生時代に作り上げてきた大きな土台に、自分で考え出した緻密な計画で30才前後にピークを持っていくのが理想と言う。そのために、練習メニューや練習量、食事まで完全に管理し、ストイックに自分を追求するところはやはり一流を感じさせるものがあります。
今年は「44秒台」への挑戦
400mの日本記録は1991年の日本選手権で高野選手が出した「44秒78」。もう15年も破られていない記録に佐藤選手は挑戦する。佐藤選手の自己ベストは「45秒50」、2003年の日本選手権での記録です。記録への挑戦のために、佐藤選手は今年から新たな試みをはじめました。日本よりハイレベルで、より厳しい環境に自分を追い込みさらなる飛躍をとげようとしています。今年3月アメリカに渡り、短い期間の転戦にチャレンジしました。最初のレースは到着した2日後、時差などでコンディションが整わない中で、敢えて走りました。それから中5日をおいてトップレベルの選手が出場する大会で走りました。「日本のレースは練習会場など整った環境で走れ、国内では自分のペースで戦えるようになりました。これから世界レベルの戦いで勝つためには、海外のいろいろな状況で100パーセントの力が出せるような能力を身につけなければなりません。海外での転戦や、国内で敢えて悪いコンディションをつくり試合をしたり、海外で戦う力をつけるためにいろいろと工夫してみたい。」とさらに上を目指すプランを佐藤選手は持っています。国内の大会で照準を合わせてくるのは、7月の日本選手権、9月のスーパー陸上あたりだと思われます。「昔からピンポイントで狙った大会にコンディションを合わせるのはうまくできるんです。今年もいくつかの大会に狙いを定め、記録を狙っていきたいです。」と記録更新への意欲は高まります。
社会人としての素顔
今年の2月から、練習拠点を千葉の幕張から故郷の福島に移し、福島大学の川本先生とトレーニングを重ねています。仕事は、富士通福島支店に勤務しています。8時40分の朝礼からビジネスマンとしての佐藤選手の一日がはじまります。会社では、お客様への訪問を中心とした業務に取り組んでいます。


佐藤選手の上司である太田部長は、「営業の経験はないが、お客様との関係をより深めるため、ユーザー訪問を中心にやってもらっています。対応も丁寧で評判も上々です。縁があって富士通の仲間になり、本人も意欲的に会社員としてのスキルアップに取り組んでいます。福島支店にとっても世界的なアスリートが目の前にいるのが大きな励みになっているので、みんなで応援しています。」と温かい目で見守っています。

支店の一角には佐藤選手コーナーが設けられ、新聞記事の切り抜きや、大会スケジュールなどが掲示され支店をあげて応援している雰囲気が伝わってきます。直属の上司である管野さんは「佐藤君は、爽やかで好青年。仕事も一生懸命やっているし、自分の弟みたいに毎日楽しくやっています。」と明るい職場で本人も楽しそうだ。

取材をした日に福島中央テレビの情報番組「ゴジてれシャトル(毎週月〜金 夕方4時50分〜7時)」の撮影がありました。職場で働く姿や、練習などの撮影が行われました。自身のみならず職場のPRを忘れないところはさずが社会人選手です。

佐藤選手は、仕事での活用とともに、陸上競技への活用も考えてエクセルを猛特訓中です。インストラクターの印象では普通の人の数倍のペースで進んでいて、飲み込みも早く予習復習もきちんとやっている優等生だとのことです。

佐藤選手の夢
「福島県の人がみんな参加して、いろいろな競技を体験する大運動会ををやってみたいです。自分も昔から運動会が大好きで、子供からお年寄りまで参加できる楽しい運動会を企画してみたい。」と心底スポーツが好きで、その楽しさを地元の人々と分かち合いたいと、人懐っこい表情で夢を語ってくれました。
最近は、レースと練習でまとまった休みがないという佐藤選手。リラックスするときは感動する映画をみたりすることが好きだという普通の青年です。しかし、どこからか発せられるオーラを感じました。今年こそ日本新記録更新を目指し、1秒でも良いタイムを出すことを期待したいと思います。



