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神様は確かに存在する。
そして神様は奇跡を起こしてくれる。
しかし神様は死ぬほど努力した者にしか力を貸してくれない。
この言葉は、2000年12月、福岡国際マラソンで日本最高記録(当時)を樹立した際に、藤田選手が色紙にしたためたものです。あれから7年、今年の福岡国際マラソンは北京五輪選考会を兼ねた大会として12月2日に開催されます。過去にシドニー、アテネと、いずれもケガのために五輪選考会のスタートラインにすら立てなかったという苦い経験をしている藤田選手にとって、今年の福岡は今まで以上に特別な意味を持ちます。特集Vol.1では、昨年12月から今年10月までの藤田選手の様子をまとめてご紹介します
今年は年明けから順調な流れ

昨年12月、藤田選手は『もう一度神様に会って勝ちたい』との強い気持ちで福岡国際マラソンに臨みましたが、スタートラインに立った時点で調整段階からの疲労が残っており、結果は8位と惨敗しました。2000年とほぼ同じトレーニングを消化し、試合に向けてどんどん追い込みのレベルを上げていく従来の練習方法では、30歳を迎えた藤田選手には逆効果だったようです。目標とする北京五輪へ向けて一からやり直さなければならないことを痛感した藤田選手は、世界記録保持者のハイレ・ゲブレシラシエ選手(エチオピア)との会話から大きな気付きを得ます。そして、「追い込むときは追い込むけれども、追い込まないときは追い込まない。試合が近づけば近づくほど、今までとは逆に追い込むレベルを下げていく」という新しいスタイルに試み、今年2月の別府大分毎日マラソンで見事に復活優勝を果たしました。
そして、年度が変わり、2007年春からは例年通りスピード強化を意識した練習に取り組みました。10000mは4月29日の日体大記録会で28分55秒00、5月19日の東日本実業団陸上競技選手権で28分46秒83(12位)とまずまずの好記録を出し、春シーズンの集大成として臨んだ7月8日の札幌国際ハーフマラソンでは1時間02分39秒(6位)と順調な流れで夏シーズンに突入しました。
新人・山下選手を練習パートナーに
7月札幌国際ハーフマラソン・スタート地点の山下選手と藤田選手
札幌国際ハーフマラソン後、藤田選手は新人・山下選手とともに夏合宿に入りました。これは藤田選手の希望でもあり、「私が面倒をみますから」と福嶋監督に山下選手を練習パートナーに推薦したそうです。山下選手も今年3月の「びわ湖毎日マラソン」で初マラソン(2時間18分51秒の18位)を経験し、もっとマラソンランナーとして必要な基礎力をつけたいという思いから藤田選手とともに行動することを決めました。これまで菅平高原、志賀高原、野尻湖と夏合宿は同じスケジュールで一緒に練習を行ってきて、山下選手のことを藤田選手はこう評します。「山下は私の練習メニューに興味があるようで、本当に目をキラキラ輝かせて質問してきますし、何よりも『勝ちたい』という気持ちが強く、練習もこなしています。もっとスピードがつけば強い選手になると思いますし、今回、私と一緒の練習メニューをこなしたことで、マラソンで勝つために必要な練習内容、練習量が経験値として彼に積み重なれば嬉しいですね」
駒澤大学・野尻湖合宿風景
そして、夏合宿の集大成の10000記録会は9月29日の夕刻、母校の駒澤大学グランドにて、新人・ワウエル選手、駒澤大学の選手をペースメーカーに、藤田選手一人だけが参加する10000m記録会が開催されました。最初の3000mあたりまでは予定していたペースよりも遅かったこともあり、遅いペースにはまってしまった感はありましたが、最終的には予定に近い28分52秒73という記録で、夏の成果を存分に発揮した結果で秋シーズンに入りました。
気温は11月下旬の並の寒さ。小雨の中で快走する藤田選手(9月29日、駒澤大学)
無理をせずに、10月を乗り切る
10月、本格的なマラソン練習が始まりました。例年は西湖にて合宿を行いますが、40km走でスピードが出すぎてしまうのを避けることもあり、今年は菅平高原(10月6日~13日)で40km走を取り入れた合宿を行った後、一度東京に戻ってインターバルをおいてから、暖かい伊豆大島(10月19日~26日)の合宿で40km走を行っています。場所は変われども相当追い込んだ練習をするため、ケガの危険と常に隣り合わせですが、「自分の体調を良く知るということ。若い頃のように何がなんでもと自分自身に無理を強いるのではなく、“やるときはやる、やらないときはやらない”というスタイルで危険を回避したいと思います」と藤田選手は合宿前に話していました。「ここまで体調も悪くなく、故障もせずに順調にきているので最後の合宿も上手く乗り切りたいですね」と、あくまでも練習の段階で追いすぎず、気持ちに余裕を持たせることを信条としているようです。『人がやったら自分はそれ以上のことをする』『やらなくてもいいときにもやる』という言葉ではなく、『自分の体調を良く知って、無理をしないほうがいいときは無理をしない』という言葉が自然と出てくるところに、昨年とは違う、藤田選手の新しい横顔がありました。

藤田選手コメント
今の段階ではまだ福岡を何分何秒で、どういったペースで走るかは考えていませんが、今回の福岡では自分のレースをして勝負をし、しっかりと勝つことを大事にしたいと考えています。選考会には期待と不安が入り混じりますが、選考会で勝てた者が北京に行くことができます。選考会前から闘いは始まり、まだまだ闘いは続きます。これまで支えてくださった多くの方へ恩返しができるよう頑張りますので、応援宜しくお願いします。


