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目次
世界陸上代表選考大会は4月22日から7月15日まで7大会あります。既に4月22日に2大会、ゴールデンウィークに3大会と、計5つの大会が終了しています。世界陸上特集VOL2では大会前半戦の総括として、5月5日に開催された国際グランプリ大阪大会を中心にお届けします。
世界陸上代表選考大会、途中経過
富士通陸上競技部の短距離・中距離・跳躍の選手は、早い段階での参加標準記録突破を目指して各大会に挑みましたが、5月5日の国際グランプリ大阪大会で走高跳の醍醐選手が標準記録Aを突破し、110mHの田野中選手が標準記録Bを突破したほかは、満足いく結果を残すことができていません。特に200m、400mの短距離陣は苦戦しており、800m、1500mの中距離陣もあと一歩のところで惜敗しています。これから後半戦を迎えますが、どの選手も世界陸上代表選考大会の中で最も比重が高い「日本選手権大会」(6月29日~7月1日開催)に照準を合わせており、これまでの課題を克服すべく練習に励み、選考会以外のレースなどで調子を上げていきます。日本トップレベルの力を保持し、代表入りを目指す選手たちに期待してください。
| 大会名 | 種目 | 順位 | 選手名 | 記録 |
| 4月22日 日本選抜和歌山大会 |
走高跳 | 1位 | 醍醐直幸 | 2m21 |
| 3位 | 江戸祥彦 | 2m15 | ||
| 4月22日 兵庫リレーカーニバル |
800m | 3位 | 笹野 浩志 | 1分51秒38 |
| 4月29日 織田記念国際陸上 |
400m | 2位 | 堀籠 佳宏 | 46秒96 |
| 110mH | 2位 | 田野中 輔 | 13秒73 | |
| 4月30日 静岡国際陸上 |
200m | 4位 | 高平 慎士 | 21秒40 |
| 1500m | 4位 | 村上 康則 | 3分45秒30 | |
| 5月5日 国際グランプリ大阪 |
200m | 4位 | 高平 慎士 | 20秒90 |
| 8位 | 大前 祐介 | 21秒45 | ||
| 400m | 6位 | 堀籠 佳宏 | 46秒08 | |
| 800m | 4位 | 笹野 浩志 | 1分50秒71 | |
| 1500m | 2位 | 村上 康則 | 3分44秒84 | |
| 4×100m リレー |
1位 | 日本 | 38秒74 (塚原−末續−高平−朝原) |
|
| 4×400m リレー |
1位 | 日本 | 3分02秒44 (山口−堀籠−太田−金丸) |
|
| 110m ハードル |
3位 | 田野中 輔 | 13秒59 | |
| 走高跳 | 1位 | 醍醐 直幸 | 2m30 | |
| 8位 | 江戸 祥彦 | 2m15 |
なお、既に高平選手(200m)、大前選手(200m)、醍醐選手(走高跳)、田野中選手(110mH)は標準記録Aを突破しており、堀籠選手(400m)は標準記録Bを突破しています。参加標準記録の有効期限は2006年1月1日~2007年8月13日。
国際グランプリ大阪大会レポート
5月5日、国際グランプリ大阪大会が大阪市長居陸上競技場で開催されました。天気予報では午後から雨でしたが、曇り空のまま持ちこたえました。
レース後、優勝してホッとする日本チーム。
富士通陸上競技部にとって最初の種目となったのは12時15分スタートの男子4×400mリレーです。直前に行われた女子4×400mリレーで日本チームが日本新記録を出して優勝したので、男子チームへの期待も高まりました。リレーメンバーは第一走者に山口選手(大阪ガス)、第二走者に堀籠選手、第三走者に太田選手(東海大)、アンカーに金丸選手(法政大)というオーダーで、アメリカとポルトガルの計3チームでレースが行われました。残念ながら女子に続いての新記録樹立とはなりませんでしたが、どの選手も力強い走りを見せ、アメリカに2秒以上の差をつけて日本チームが快勝しました。
1500m
最終ラップで先頭に出る村上選手。
次の種目は男子1500mです。標準記録B(3分39秒00)の突破を目指す村上選手が出場しました。4月30日の静岡国際陸上大会に出場してから少し調子を崩していた村上選手でしたが、号砲が鳴ると頑張りを見せ、徐々にペースを上げ、最終ラップではトップに躍り出ます。しかし、最後の最後で踏ん張りがきかず、渡辺選手(山陽特殊製鋼)にかわされて惜しくも敗れてしまいました。試合後に観客席に立ち寄ってくれた村上選手にコメントを求めたところ、苦笑いして「何も言えません・・・」と一言。やはり本調子ではなかったのでしょう。その日は他の選手よりも先に帰京し、5月2日より菅平で行われている富士通陸上競技部の中長距離陣合宿に合流しました。
走高跳
走高跳の準備風景。
1500mの村上選手がゴールしてまもなく、フィールド内では走高跳の選手が準備を始めました。時刻は13時半ごろです。どの選手もマットの場所から歩幅の短い独特の歩数で距離を測り、何度か助走して確かめるなどをして、各自にとって最適なスタート地点にテーピングをしていました。「助走は11歩くらいで」と話していた醍醐選手はトラックの3レーンと4レーンの間あたりにテープを貼り、助走が短めの江戸選手はフィールド内にテープを貼りました。
14時、いよいよ走高跳の競技開始です。バーの高さは2m10からスタート。まず江戸選手が最初のジャンプを決めました。もちろん醍醐選手も1回でクリアします。バーが5cm上がって2m15になり、江戸選手は1回目を失敗しますが、2回目は成功しました。次の2m18は、ほとんどの選手がパスしました。江戸選手も2m21のバーから挑戦しましたが3回とも失敗で終わり、記録は2m15で終わりました。
一方の醍醐選手は2m10、2m15、(2m18はパス)、2m21、2m24、2m27とすべて1回でクリアしました。昨年までは、特に日本記録を出した日本選手権でのパフォーマンスが象徴しているように、3回目の試技で成功するという、見ていてハラハラするシーンが多かったのですが、今年の醍醐選手は違います。アジア大会での悔しい2m23、春季サーキットの初戦(日本選抜和歌山大会)での2m21という記録を考えると、この日の醍醐選手は驚くほど順調なジャンプを見せました。「今年はワンランクアップして、最低ラインを2m27と意識し、2m30台の高さを安定して跳びたい」と年初に語っていた目標どおりの展開です。もしかすると2m30も1回でクリアするかもしれない、今日はすごい記録が出るかもしれないと、期待をもたせます。
走高跳・800m
2m30のジャンプ1回目が終わった頃の様子。トラックでは800mの笹野選手がレース中。
時刻は15時、トラックでは高平選手が第三走を務めた4×100mリレーが終わり、笹野選手の出場する800mの競技が始まるところでした。スタートの合図があり、800mの選手の集団が第2コーナーを曲がったあと、醍醐選手が観客席に手拍子を求めました。2m30の跳躍には醍醐選手のほかに、2m27の試技をパスしたトーラ・ハリス選手(アメリカ)、2m27を1回試技して失敗し、2回目以降はパスしたスポソブ・グジェゴシュ選手(ポーランド)も挑戦しました。両選手とも強豪で、ハリス選手は2m33の自己ベスト、グジェゴジェ選手は2m34の自己ベストを保持しています。どの選手も先に制してプレッシャーをかけたいところですが、3人とも1回目の跳躍はクリアならず。
2回目の跳躍が始まるまでに少し時間がありました。ちょうど試合中のトラックでは800mの笹野選手がスローペースの展開の中で、積極的に自分でレースを組み立てていました。しかし、後半にかわされてしまい、4位でゴール。記録を狙っていただけに、とても悔しそうな表情を見せていました。
そして、その2分後、醍醐選手が動き出しました。大きく両手をあげ、観客席に手拍子を求めます。1、2、3、4、だんだんと手拍子は大きくなり、この日一番の大きな手拍子が会場全体に響き渡りました。「手拍子のリズムに自分の跳躍を合わせているわけではなくて、会場の雰囲気の高まりを力としてもらうために手拍手を求めているのです」と、以前に醍醐選手が説明してくれたように、手拍子は揃っていなくていいのだそうです。会場の雰囲気が高まっていく中、2回目の跳躍へ向け、助走スタート!
2m30(標準A)を2回目でクリア!
クリアした瞬間、大歓声と、さらに大きな拍手が沸き起こりました。醍醐選手も両手をつきあげて観客に応えます。昨年の2m33という日本記録を樹立した瞬間と同じような光景で、久々のビッグジャンプに大興奮の嵐でした。
他の選手は2m30を失敗していたため、この時点で優勝は決まっていましたが、「国際グランプリ大会大阪では記録を狙う」という言葉どおり、次のバーの高さを2m35へと一気に5cmもあげた醍醐選手。観客も固唾をのんで見守る中、たった1人の跳躍が始まりました。1回目は失敗。2回目も失敗。そして3回目…。助走が合わず、新記録樹立とはなりませんでしたが、大きな収穫を得たようです。試合後、「目標はシーズン中に2m30をクリアすることだったので、結果を出せてホッとしています。まだ助走にバラつきがあるので、それを修正していきたいです」とコメントしていたように、6月末の日本選手権までにしっかりと課題を克服し、本番ではさらに成長した姿を見せてくれることでしょう。
110mH、400m、200m
110mH世界記録保持者とのレース。
15時40分ごろ、110mハードルの競技がスタートしました。一般種目のキャプテン・田野中選手が、世界記録保持者の劉 翔選手(中国)、強豪の史 冬鵬選手(中国)、4月29日の織田記念国際陸上で優勝した内藤選手(ミズノ)や、大橋選手(ミズノ)と勝負しました。今季は怪我もなく順調で、「こういうときの自分は強い」と自信を覗かせた田野中選手は、その言葉通り、日本人トップの3位で走り終えました。田野中選手は既にA標準突破の記録を持っており、この試合では今季初のA標準突破記録を狙っていたので、13秒59というB標準突破の記録には満足していないようすでしたが、日本選手権大会に向けて実りの多いレースになったようです。
さて、富士通陸上競技部の選手が出場する種目も、いよいよ残すところ2種目のみ。400mに堀籠選手、200mに大前選手、高平選手が出場しました。4月27日に掲載した世界陸上特集VOL1で『今シーズンは条件さえ揃えば、早い段階で参加A標準を突破する勢いを持つ』と紹介した堀籠選手でしたが、どうも調子が上がらないようです。この日のレースは46秒08という結果で6位に終わりました。
続いて行われた200mの種目にいたっては、4×100mリレーが終わってから1時間もなかったという厳しいタイムスケジュールもあり、高平選手が苦戦しました。4月29日の静岡国際に続いて今回も自分のタイムが良くなかったことについて、「ありえない」と一言。リレーを一生懸命頑張ったのが逆に裏目に出てしまったのか、乳酸値が上がりきっている状態での専門種目はキツかったようです。世界陸上特集VOL1で『今シーズンは絶好調な仕上がり』と紹介している旨を伝えると、「仕上がりは絶好調だったのですが、あとの過程が悪かったです」と反省。400mと200mでエントリーしている東日本実業団では、「マイルも走れることをアピールしつつ、200mは仕上げたい」と話してくれました。
一方の大前選手は春季サーキット前に怪我をしてしまい、静岡国際陸上を急遽キャンセルしての本大会でした。「今日は怪我あけだったので、走れるかどうかの確認ができてよかったです」とホッとしていたようすで、次回は東日本実業団と東京選手権の大会で調整をし、日本選手権大会へ向けると誓っていました。
「次、がんばります」と高平選手。
近日の大会のおしらせ
5月19日~20日に埼玉県・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で「第49回東日本実業団陸上競技選手権大会」が開催されます。富士通陸上競技部からは短距離、中距離、長距離、跳躍と多種目に渡り、ほぼフルメンバーで出場します。特に世界陸上代表入りを目指す選手では、国際グランプリ大阪大会に出場した選手が全員出場します*。また、5月26日に宮崎県・延岡市西階総合運動公園陸上競技場で開催される「第18回ゴールデンゲームズinのべおか」に、男子800mの笹野選手と男子1500mの村上選手が記録を狙って出場します。
*佐藤選手(400m)は当初は東日本実業団への出場を予定していましたが、欠場することになりました。



